テレビ台の収納扉・引出し収納について

現在のテレビ台に広く採用されているのが、前面に倒れるタイプのフラップ扉タイプです。取手を引くか、一部を押す（プッシュラッチ式）と開く構造です。デッキ収納内の密閉性が高いため、ホコリが侵入しにくい扉です。

開閉時、本体と扉をコントロールするのが「ステー」と呼ばれる部材で、グレードの高いテレビ台になると、途中で手を放してもゆっくりと開いていくなど、開くスピードを調節できる「ソフトダウンステー」が採用されています。多くの場合、ステーの中央付近にあるボルトを左右に回して調整することでスピードを加減できます。扉の前面はガラスなど内部に設置したデッキを操作する為、リモコンの赤外線を通す素材が多く使われています。フラップ扉はとても機能的で便利ですが、オープン時、テレビ台の前面に扉を開く為のスペースが必要となります。また、過剰な荷重が掛かった場合など、ステー自体が破損する可能性もあります。小さなお子様がいる家庭などでは、扉の上に足を掛けて乗らないよう注意が必要です。

戸を左右にスライドさせることで内部に収納させる引戸は、フラップ扉と異なりテレビ台の前方に扉を空ける為のスペースを必要としない為、狭い部屋などへの設置に便利です。

但し、引戸なのでオープン時、戸を引いておく場所がテレビ台の内部に必要な為、収納部の内寸が狭くなる場合があります。特に左右に分かれたスペースそれぞれに戸が付いている場合は左右どちらか一方しか開けておくことができないので注意が必要です。また、引戸は簡単に取り外しできるケースが多いので、内部の清掃時などが楽です。デメリットとしては左右2枚分の扉のレールを敷くスペースが必要となるので、内寸の奥行に影響するリスクがあります。

昔よく見られた、開き扉は現在のデザイン時流には珍しくなり希少なものになりました。テレビの大型化に伴いテレビ台も大きくなってきています。デッキ収納スペースを開き扉にするとかなり大きな扉になってしまい、開くとテレビ台の前方に大きなスペースが必要な為、用途としては非現実的なものとなってしまったからです。現在でよく見られるのは、大きなテレビ台でも左右端に配置されたものです。

開き扉はほぼ確実に取手が必要となる為、デザインに凝った取手をあしらうことで、全体の雰囲気をオシャレにコーディネートすることができます。特にアンティーク調やアジアン系などのテイストにはオシャレで可愛いデザインの取手がワンポイントになります。取手の印象でテレビ台の雰囲気が大きく変わることもあります。

近年、収納部分とデッキ部分を一体にした構造のテレビ台も作られるようになりました。サイズ的に迫力があり、グレードの高いスライドレールを採用することで高級感のある開閉を実感することができます。少し個性的な構造なだけに、製作に取り組むのはデザイン性を重要視する職人が多く、結果的にスタイリッシュな外観のものや、高級志向の作品が目立ちます。